大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)560 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人井上吾郎の上告理由第一点について。

所論弁済猶予の点につき、原判決及びその引用する第一審判決理由中に示された

証拠の取捨判断事実の認定には、証拠の趣旨を誤解し或は経験則に違背したと認め

られる点は存しない。そして、証言の信用し得ない理由を必ずしも判示する必要の

ないことは、当裁判所の判例(昭和三〇年(オ)八五一号、同三二年六月一一日、

民事判例集一一巻一〇三〇頁)とするところである。

されば、論旨はすべて理由がない。

同第二点について。

原審の確定するところによれば、本件貸金額は金二〇万円、弁済期は貸付より六

月後、利息月八分であり、本件譲渡担保物件の担保権設定時における価格は金三二

二、六八五円ないし六六八、二八六円であるというのであるが、これらの事実だけ

から直ちに右譲渡担保契約或は所論代物弁済契約が上告人の窮迫に乗じ暴利をむさ

ぼろうとする著しく射倖的な契約であるとは断じ難い。

されば、所論は結局原審の適法にした事実の認定を非難するに帰着し、採用し得

ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

- 1 -

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!